青天井と対面式

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ザ・ノンフィクションSP~人殺しの息子と呼ばれて・・・~ 感想

2017年12月15日にフジテレビで放送された『ザ・ノンフィクションSP~人殺しの息子と呼ばれて・・・~』の感想記事です。

番組表を見て少し興味を持った題材だったのでちょっと録画してみました。

リアルタイムで見ようかと一瞬思ったのですが寝る前だったのでその時間はロンハーの50TA見てました・・・見てて良かったです。こんな重い話、寝る前に聞いたらろくな夢見なかったでしょう・・・。

 

私はこの感想記事を私なりに書いていいのかどうか分かりません。この事件を今回初めて知って、番組を見た後wikiでですが事件のことを調べました。とんでもない世界・同じ人間がやったとは思えないあまりに常軌を逸した事件です。

その息子さんへのインタビューの番組感想です。あくまでも私の意見です。不器用ですが、書かずにはいられなかったので書きますね。

 

フジテレビはよく他局でスターウォーズやロンドンハーツSPやってる中でこういうのをゴールデン番組でぶつけようと思ったものです・・・。正直私はフジテレビに良いイメージを持っていないのでそれもご理解頂ければと思います。

 

北九州連続監禁殺人事件の加害者の息子さんへのインタビューです。番組内では終始『息子』と表現して、Aや(仮名)は使わなかったのが印象的です。あの異質極まりない事件の下での幼少期・学校・そして就職。大まかな流れはこれになります。

 

幼少期は二つの家を行き来していたそうで、普段はロフトのある部屋で弟さんと二人で暮らしていて、もう一つの家は恐らく犯行が行われていたマンションでしょう・・・。

監視カメラがついていて常に状況を監視されている。食事も少量しか与えられず、風呂も沸かし方が分からず常に水風呂。父親(松永死刑囚)の指示に従うしかなく、それが当たり前。

母親(緒方被告)に背中から包丁を突きつけられた記憶があり、父の機嫌を損ねれば通電という拷問をされていた過去。この時点で普通の幼少期ではありません。なのでこれは彼の感覚でしか語られない、語れないという状態です。

 

戸籍がなかった為両親が逮捕されてからは養護施設での暮らし。施設に通って「こんなに食べていいのか、と思った」と言う話には胸が痛くなりました。

けれど施設に通っている故に、学校に通う普通の子供とは違う視線・環境下に言い知れぬ感情を抱いていたそう。授業参観も施設の職員が来て、体育の授業でのゲームにも意味を見出だせず何が楽しいのか分からない・「好き」と告白されてもその「好きが何か分からない」。

 

愛のない学校生活です。そうして犯罪者の息子とバレて、遂にキレて椅子を投げつけるという騒動を起こします。私が思うに彼はそうする事しか知らない、反論の言葉を知らず暴力でしか反抗できないのだと思いました。

 

そこから中学校に入っても不良として過ごすしかなく、気にかけてくれた先生の言葉にも「お前に何が分かるんだ」「俺の何を分かって言っているんだ」と思って信用出来ない。

大人は信用できない、頼れる相手もいない。ニュースで両親への判決を知る彼の気持ちはかなり複雑だった事でしょう・・・。

 

気を張っていないといけないという緊張感の中過ごす中学校生活。そうでなければいけないという考え方。そして暴力でしか感情を表せない自分にかつての父親の姿を重ねてしまう事もあったと。

 

自分の中に両親の血が流れているというのは、彼の人生の中で一生付きまとう事実であり、宿命です。彼にしかこの思いは分かりません。

 

そうして高校には行かずお金を求めて就職へ。里親に引き取られもしましたが居づらくなり家出。住所不定の身では車も、職も、何もない。住み込みでの職場を求めて転々とします。

ここでも普通の職や楽しそうに生活していいる一般人との差を痛感して(どうしてああいう風に生きられないんだろう)と思ったと言います。

やっと日雇いで住まわせてくれる場所が見つかったと思いきや、暴力団関係で指導者を失いまた路頭に迷う。

 

けれどここ24年間生きてきて、最近ようやく安定した職が見つかり、結婚もして静かに暮らしているそう。

お嫁さんも良い人のようで、インタビュー番組を見て「まあ今更だよね」と受け入れてくれた事に凄く救われたと言います。

 

将来子供を作る事については考えていないそうで、「愛情のかけ方が分からない。」「またどこかでリミッターが外れてしまうかも」という気持ちが常にあるから。この記憶は一生消えないだろうと言っています。

 

何度か自分の父親・母親とも面会に行ったと言います。父に初めて歯向かってみたり、憎んでいた母とも何度も面会に行っているといいます。

自分の過去と真っ直ぐ向き合う勇気がある。向き合える覚悟が出来ている、それだけでも凄い事です。

 

母から送られてきた手紙には、可愛らしい挿絵や息子を気遣う文章。それを彼は素直に受け取る事が出来ず、「今までしてきた事を何だと思っているんだ」「今更なんのつもりなんだ」と思い憎しみがある。

けれど憎しみだけじゃない気持ちもある辺り、一応は自分の親なんだと思う。そう言っていました。

 

私が思うに母の緒方被告の文章を批判する人もいますが、やはり失った時間や日々を取り戻そうとまた人間に戻ろうとしている事だと思います。

緒方被告を擁護する気も批難する気も私にはありません。率直な意見です。決して許されない犯罪者の心理は私には分かりかねますが、けれど悪い事なようにも思えません。

正常な行為です。一度人の道を踏み外した者が、人としての尊厳を与えられ、罪を償う場に身を置かれ、そうして反省の文章を述べられるまでに回復し、自分の息子と向き合える場が出来た。

だから手紙を送る事で『一人の人間、母親として』の本来あるべき姿を取り戻そうとしている。私はそう考えます。

 

 『まずは被害者への謝罪が先』と言う意見もありますが、そこがなかったのか記者が取り上げなかったのかは定かではない為なんとも言えません。

洗脳されていたが為に疑心暗鬼を植え付けられ、そう言った感情が欠落しているのか。それとも思っているけれども息子への心配が先だったのか。私達には分かりません。

 

この番組を見ての感想ですが、衝撃的でした。こんな事件知らない方が良かったのでは、と思う程でした。けれど彼の告白も大事です。

ああしてメディアに訴えかける事によって、似たような境遇の人が救われるかも知れません。それに彼自身もどこか賛否の意見がある中でも救われるかも知れませんから。

 

何度も言うように彼の人生は始まりから既に狂っています。それをどう我々が理解してあげられるかなんて正解はきっとどこにもありません。

けれど彼もまた一人の人間として生きる意味がある、生きて良い価値があると思います。犯罪に意図せず巻き込まれた彼の人生。数奇な運命だからこそ見いだせる何かをこれからも彼自身見つけていってほしいです。

 

あくまでも彼が決める事。私達が口出しする話ではないです。

 

もう一つどうしても言っておきたい事があります。それは記者であり、この番組の心ない報道そのものです。終始番組を『犯罪者の"息子"』として『息子』と呼び続け、一人の人間として発信しない植え付けるナレーション(読んでる方に罪はないです)。

最後の「自分は父親と母親どちらに似てると思いますか?」なんて虫唾が走るような質問。そんなのどっちに似てるか答えた所でどちらも犯罪者。明らかに今までのインタビューを踏んだ上での誘導尋問です。

暴力でしか解決する術を知らなかった彼の過去を知った上で、「父親に似ているんでしょうね・・・」というマイナスにしかならない解答を引き出した。私はこういうフジテレビのやり方が大嫌いです。

 

視聴者や事件に巻き込まれた彼自身のお涙頂戴で視聴率を稼いでやろうという魂胆が見え見えです。

このインタビューで彼は救われる部分もあったと思いますが、ああいう質問や番組構成のせいで視聴者は『この人は苦労もしているけれど、やっぱり"息子"だからな』と思わざるおえなくなります。

一人の人間として、向き合う気はないのでしょうか?ただ普通の道を歩きたい彼を応援する気はないのでしょうか?

 

どうしても奇異の目で見られてしまうのは分かります。きっとこれからもそれはついて回る事でしょう。

今SNSが当たり前の時代になり、匿名で色んな事を書かれたり心ない言葉を浴びせられる事でしょう。

 

それだけ彼の両親がした罪があまりに重いから。そして同じ人間とは思えないような事をしてきたから。彼なら痛い程、人生に染み付いている事だと思います。

 

だからこそ、普通の道を歩いてほしい。どうか彼が静かに暮らせるだけの人生をこれから歩んでほしい、これから見つけてほしいです。それが彼の本当の宿命だと思います。

 

 

少々見辛い点もあったかと思いますが、ここまでの長文、読んでくださり有難うございました。